満洲国映画対策树立案
方針
満洲国ニ於ケル映画対策樹立案ノ為先ヅ之ガ審議及準備機関ヲ設定ス。
理由
1、現在満洲国民ノ指導教化ニ適スル映画殆ンド無ク識者ハ斉シク之ヲ憂ヘリ。
2、目下満洲国内ニ於テ最モ多ク用ヒラレツツアル映画ハ米国、上海及日本ヨリ輸入セラルルモノニシテ此ノ映画中ニハ満洲国ノ治安工作及国民ノ思想善導上有害ノモノ少ナカラザルヲ以ツテ速ニ之ヲ制限スルヲ要ス右ハ之ニ代ルベキ映画無キコトニ起因ス。
3、映画事業ノ保護、奨励制度及之ガ調査、研究機関頗ル不完全、不統制ニシテ之ニ対スル法律モ亦頗ル不完全ナルコト。
4、満洲国政府及協和会、満鉄等夫々別個に映画事業ニ服シアルハ経済上甚ダ不利ナリ、即チ此ノ方面ノ権威者少キ満洲ニ於テ僅カノ費用ヲ分割使用スルハ設備費、機械費、人件費、旅費等ヲ重複使用スルノミナラズ孰レモ幼稚、低級ナルモノヲ製作スルニ止ルナリ。
5、内地有力映画会社ハ現今ノ経済状態ニ進出スルコト困難ナルベク、若シ来ラントスルモ日本ノタメノモノヲ製作スルニ止マルナラン右ノ理由ニ依リ速ニ国策映画機関ノ樹立ヲ必要トスルモ此ノ機関ヲ政府直轄ノモノトスルヤ、政府内孰レノ部局ニ属セシムルヤ、或ヒハ又弘報協会ノ如キ制度ノモノト為スヤ等尚研究ヲ要ス、故ニ先ヅ準備委員ヲ定メ之ガ研究立案及審議ヲナサシムルヲ要ス。
一、映画ニ関スル審議会ト弘報協会トハ別個ノ機関タラシムル。
コト二、各部ノ映画ニ支出シタル経費ヲ調査スルコト三、満鉄トノ関係ハ目下触レザルコト在満各機関ノ映画関係者ヲ以テ映画対策審議会ヲ組織シ更ニ。
具体案ヲ作製ノ為各機関主任者ヲ以テ準備委員会ヲ編成シ逐次左記事項ヲ研究準備セシメ審議会ノ承認ヲ経テ実施機関ヲ樹立ス第一、如何ナル機関トナスヤ及之ガ隷属及資金支出ノ関係ヲ審。
議ス第二、組織事業内容及予算ノ問題ヲ議ス第三、映画法案ノ研究審議ヲナス満州国映画法(康徳四年十月七日勅令第二九〇号)附录第一条本法ニ於テ映画ト称スルハ、多衆ノ観覧ニ供スル映。
画ヲ謂フ第二条映画ノ製作ヲ業トセントスル者ハ国務総理大臣ノ許可ヲ受ケヘシ映画製作業者其ノ製作所ヲ増設シ、移転シ又ハ其ノ事業計画ヲ変更セントスルトキ亦前項ニ同シ。
第三条国務総理大臣ハ特ニ必要アリト認ムルトキハ映画製作業者ヲシテ其業務ノ状況ヲ報告セシメ又ハ所部ノ官吏ヲシテ其ノ帳簿書類其ノ他ノ物件ヲ検査セシメ若クハ関係者ヲ尋問セシムルコトヲ得。
第四条映画ノ輸出、輸入及配給ハ国務総理大臣ノ指定シタル者ノ外之ヲ為スコトヲ得ス。
第五条映画ハ治安部大臣ノ定ムル所ニ依リ当該官署ノ検閲ヲ経タルモノニ非サレハ之ヲ輸出シ又ハ上映スルコトヲ得ス。
第六条未現像フィルムハ之ヲ輸出スルコトヲ得ス但シ撮影ニ関シ予メ治安部大臣ノ定ムル所ニ依リ当該官署ノ承認ヲ経タルモノハ此ノ限ニ在ラス。
第七条国務総理大臣ハ特ニ必要アリト認ムルトキハ映画製作業者ニ対シ内容ヲ指定シテ映画ノ製作ヲ命シ又ハ映画上映業者ニ対シ映画ヲ指定シテ其上映ヲ命スルコトヲ得国務総理大臣前項ノ規定ニ依リ映画ノ製作ヲ命シタル場合ニ於テハ其製作者ニ対シ助成金ヲ交付スルコトヲ得。
第八条国務総理大臣ハ帝国内ニ於テ製作セラレタル映画ニシテ国家観念ノ涵養、国民ノ知徳啓発其他公益ニ資シ特ニ優秀ナリト認メタルモノニハ其製作ニ関与シタル者ニ対シ賞金ヲ供与スルコトヲ得前項ノ規定ニ依リ賞金ヲ供与スヘキ映画ハ国務総理大臣ノ定ムル所ニ依リ審議会議ノ議ヲ経テ之ヲ決スヘシ。
第九条映画製作業者又ハ第四条ノ規定ニ依ル指定ヲ受ケタル者本法若クハ本法ニ基キテ発スル命令又ハ之ニ基キテ為ス処分ニ違反シタルトキハ国務総理大臣ハ第二条ノ許可又ハ第四条ノ指定ヲ取消スコトヲ得。
第十条第二条第一項ノ規定ニ違反シタル者ハ一年以下ノ徒刑又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス第十一条検閲ヲ経スシテ映画ヲ輸出シ又ハ之ヲ上映シタル者ハ六月以下ノ徒刑又ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス第十二条第四条ノ規定ニ違反シタル者ハ五百円以下ノ罰金ニ処ス第十三条左ノ各号ノ一ニ該当スル者ハ三百円以下ノ罰金ニ処。
ス一、第二条第二項ノ規定ニ違反シタル者二、第六条ノ規定ニ違反シタル者第十四条第三条ノ規定ニ依リ命セラレタル報告ヲ為サス若ク。
ハ虚像ノ報告ヲ為シ又ハ当該官吏ノ職務執行ヲ阻障シタル者ハ二百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス。
第十五条映画製作業者又ハ映画上映業者第七条ニ規定スル国務総理大臣ノ命令ニ違反シタルトキハ百円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス。
第十六条映画ノ製作、輸出、輸入、配給又ハ上映ヲ業ト為ス者ノ使用人其他ノ従業員其業務ニ関シ本法若クハ本法ニ基キテ発命令ノ定ムル罰則ニ触ルル行為ヲナシタルトキハ該行為者ヲ罰スル外本人ヲモ処罰ス但シ本人心神喪失者又ハ営業ニ関シ成年者ト同一ノ能力ヲ有セサル未成年者ナルトキハ其法定代理人ヲ処罰ス。
第十七条法人ノ使用人其他ノ従業員法人ノ業務ニ関シ本法又ハ本法ニ基キテ発スル命令ノ罰則ニ触ルル行為ヲ為シタルトキハ該行為者ヲ罰スルノ外業務ヲ執行スル職員又ハ社員ヲモ処罰ス法人ノ業務ヲ執行スル職員又ハ社員前項ノ行為ヲ為シタルトキハ其職員又ハ社員ヲ処罰ス。
第十八条第十六条又ハ前条第一項ノ場合ニ於テ本人若クハ法定代理人又ハ職員若クハ社員カ当該違反行為ヲ防止スルノ途ナカリシコトヲ証明シタルトキハ之ヲ罰セス。
附則本法ハ康徳四年十一月一日ヨリ之ヲ施行ス。
満洲国映画法施行令(康徳4年10月7日院令第23号)
第一条映画法第二条ノ許可ヲ受ケントスル者ハ左ノ事項ヲ具シ省長又ハ特別市長ヲ経テ国務総理大臣ニ之ヲ申請スヘシ。
一、住所及氏名但シ法人ニ在リテハ其名称及事務所ノ所在地並代表者ノ住所及氏名
二、事業計画
三、製作所ノ所在地及其ノ設備構造
前項第一号ノ事項ヲ変更シタルトキ又ハ製作業ヲ廃止シタルトキハ事由発生ノトキヨリ七日以内ニ省長又ハ新京特別市長ヲ経テ其旨国務総理大臣ニ届出ツヘシ。
第二条映画法ニ於テ輸出又ハ輸入ト称スルハ転運、積換、積戻其他単ニ帝国ヲ通過セシムル目的ヲ以テ之ヲ輸送スル場合ヲ含マス。
第三条映画法第四条ノ規定ニ於テ映画ノ配給ト称スルハ営業又ハ営利ノ目的ヲ以テ之ヲ売却、貸付其他譲渡スルコトヲ謂フ。
第四条国務総理大臣映画法第七条第一項ノ規定ニ依リ映画ノ製作ヲ命スル場合ニ於テハ左ノ事項ヲ記載シタル製作命令書ヲ映画製作業者ニ交付スヘシ。
一、製作終了期日二、内容及内容中特ニ強調ヲ要スル点三、其他必要ナル事項第五条映画法第七条第一項ノ規定ニ依リ映画ノ製作ヲ命セラ。
レタル場合映画製作業者ハ製作完了ノ日ヨリ三十日以内ニ左ノ事項ヲ具シタル製作明細書ヲ国務総理大臣ニ提出スヘシ一、映画製作業者ノ住所及氏名但シ法人ニ在リテハ其名称及事。
務所ノ所在地並代表者ノ住所及氏名二、映画ノ製作担当責任者ノ氏名三、映画ノ製作ニ要セル費用ノ明細四、帝国内ノ撮影所ニ於テ撮影セラレタル「セット」ノ場面数五、帝国人民又ハ帝国内ニ居住スル者ニ支払ハレタル費用六、映画製作ニ要セル期間第六条国務総理大臣映画法第七条第一項ノ規定ニ依リ映画上映業者ニ対シ映画ノ上映ヲ命スル場合ニ於テハ左ノ事項ヲ記載シ。
タル上映命令書ヲ映画上映業者ニ交付スヘシ一、上映スヘキ映画ノ題名二、上映期日三、上映期間四、其他必要ナル事項附則本令ハ映画法施行ノ日ヨリ之ヲ施行ス株式会社満洲映画協会法(康徳4年8月14日勅令第248号公布、康徳5年7月7日勅令。
第142号改正、康徳5年7月21日勅令154号改正、康徳7年11月25日勅令第307号改正)
第一条政府ハ映画ノ製作、輸出入及配給ノ指導統制ヲ為シ、映画事業ノ健全ナル発達ヲ遂ケシムル為株式会社満洲映画協会ヲ設立セシム。
第二条株式会社満洲映画協会ハ左ノ各号ニ揚クル事業ヲ営ム。
コトヲ目的トスル股份有限公司トス一、映画ノ製作二、映画ノ輸出入三、映画ノ配給株式会社満洲映画協会ハ国務総理大臣ノ認可ヲ経テ前項ノ事。
業ニ附帯スル業務ヲ営ムコトヲ得第三条株式会社満洲映画協会ハ本店ヲ新京特別市ニ置ク。
第四条株式会社満洲映画協会ノ資本ノ額ハ五百萬円トシ内二百五十萬円ハ政府ノ出資トス第五条株式会社満洲映画協会ノ株式ハ記名式トシ一株ノ金額ハ之ヲ五十円トス第六条株式会社満洲映画協会ノ株式ハ会社ノ同意ヲ得ルニ非サレハ之ヲ他人ハ譲渡スルコトヲ得ス第七条株式会社満洲映画協会ノ株金ノ第一回払込ノ額ハ之ヲ株金額ノ四分ノ一迄ニ下スコトヲ得第八条株式会社満洲映画協会ノ株主ハ一株ニ付キ一箇ノ議決権ヲ有ス第九条株式会社満洲映画協会ニ理事長一人、理事三人及監事二人ヲ置ク。
第十条理事長ハ株式会社満洲映画協会ヲ代表シ其ノ業務ヲ綜理ス理事長事故アルトキハ理事ノ一人其ノ職務ヲ行フ理事ハ理事長ヲ補佐シ株式会社満洲映画協会ノ業務ヲ掌理ス監事ハ株式会社満洲映画協会ノ業務ヲ監査ス。
第十一条理事長、理事及監事ハ株主総会ニ於テ之ヲ選任ス理事長及理事ノ任期ハ四年トシ監事ノ任期ハ三年トス第十二条理事長、理事又ハ監事ハ任期終了シタル後ト雖モ後任者ノ就任アル迄其ノ職務ヲ行フコトヲ得第十三条理事長、理事及監事ハ国務総理大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ他ノ業務ニ従事スルコトヲ得ス。
第十四条国務総理大臣ハ株式会社満洲映画協会ノ事業ニ関シ公益上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得。
第十五条国務総理大臣ハ株式会社満洲映画協会ノ事業ニ関シ監督上必要ナル命令ヲ為スコトヲ得。
第十六条株式会社満洲映画協会ノ理事長、理事及監事ノ選任又ハ解任、定款ノ変更、合併及解散、社債ノ募金並ニ利益金ノ処分ニ関スル決議ハ国務総理大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス。
第十七条株式会社満洲映画協会ハ営業年度毎ニ事業計画ヲ定メ予メ国務総理大臣ニ提出スヘシ、其ノ計画ニ重要ナル変更ヲ加ヘントスルトキ亦同シ。
第十八条株式会社満洲映画協会ハ国務総理大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ其ノ事業ノ全部又ハ一部ヲ廃止又ハ休止スルコトヲ得ス。
第十九条株式会社満洲映画協会ハ国務総理大臣ノ許可ヲ受クルニ非サレハ重要ナル財産ヲ譲渡シ又ハ擔保ニ供スルコトヲ得ス。
第二十条国務総理大臣必要アリト認ムルトキハ株式会社満洲映画協会ヲシテ其ノ業務若ハ財産ノ状況ヲ報告セシメ又ハ所部ノ官吏ヲシテ其ノ金庫、帳簿其ノ他物件ヲ検査セシムルコトヲ得。
第二十一条国務総理大臣ハ株式会社満洲映画協会ノ決議カ法令若ハ定款ニ違反シ又ハ公益ヲ害スト認ムルトキハ其ノ決議ヲ取消スコトヲ得国務総理大臣ハ株式会社満洲映画協会ノ理事長、理事又ハ監事ノ行為カ法令、定款若ハ本法ニ依ル命令ニ違反シ又ハ公益。
ヲ害スト認ムルトキハ之ヲ解任スルコトヲ得。